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SDGs:”海の環境”を守る対策

    
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SDGs:”海の環境”を守る対策

はじめに

海の汚染は,規模が大きく一度汚染されると自然環境に与える影響はとても大きいです。しかし,海を日常生活で頻繁に目にする人は少なく,海の汚染を自分ごととして感じることは難しいかもしれません。

今回は,遠いようで意外と身近な日常生活と関係がある海の汚染と自然環境についてお話しします。

1.  海の汚染の原因とは

海の汚染の原因はいくつかあります。たった一度の事故で大規模な海の汚染につながる船の事故から毎日の日常生活で少しずつ着実に汚染していく下水や産業廃棄物まで丁寧に解説します。

 ① 海洋プラスチックゴミ

海の汚染の原因の中でも,今一番注目されている原因が海洋プラスチックゴミです。海洋プラスチックゴミは,プラスチックゴミが海に流れたものです。海洋プラスチックの量は年々増え,2050年には海洋プラスチックゴミが海の魚の数よりも多くなるといわれています。海洋プラスチックゴミの種類は多く,陸で捨てられたレジ袋やプラスチックゴミが海に入りマイクロプラスチックになったもの,漁で使われた網などがあります。漁で使われた網はゴーストネットと呼ばれ,ウミガメやアザラシなどの生物にからみつきます。生物たちはゴーストネットによって動きが妨げられ,捕食されたり傷ついたりして命を落とすのです。漁に使う編みはプラスチック製がほとんどです。自然環境に戻るまでには果てしない時間がかかります。

 ② 船の事故

原油が海に流れ出る船の事故は,海の汚染を急激に進めます。1997年ナホトカ号や2020年のWAKASHIOは記憶に新しいのではないでしょうか。また,船の事故ではありませんが2010年ディープウォーターホライズン事故でも大量の原油が海に流れ出ました。海に流れ出た原油からは炭化水素が流れ出し,海の自然環境を壊します。原油は海の表面を覆い非太陽光を遮ります。そして,海に生きる生物や海鳥に原油はこびりつき生態系も壊していくのです。

船の事故がおきると周辺に住む人たちは必死に原油を海からくみ上げて海の汚染を最小限に抑えようとします。しかし,船の事故による原油流出量は人の手でまかなえるものではなく甚大な被害を出します。

 ③ 下水

私たちの家庭から出る生活排水も海の汚染に関係しています。生活排水は下水処理場である程度はきれいにされます。しかし生活排水には,たくさんの栄養を含んだ有機物が含まれています。栄養バランスがとれていた海に有機物を流すことでバランスは崩れ海の汚染につながるのです。

中でも化学物質による海の汚染は深刻です。化学物質は魚に蓄積され,食物連鎖によって大きな魚に濃く蓄積されます。マグロは人間が食べることも多く,人間への影響も懸念されています。

2.  海の汚染によって壊された自然環境の例

さまざまな原因で海が汚染されると,自然環境にも影響が及びます。まず,海の汚染は海の環境を壊し始めます。下水や廃棄物によって必要以上に栄養豊富になった海は微生物による分解が追い付かず,プランクトンが異常発生します。プランクトンが異常発生した海は赤くみえるのです。これを赤潮といいます。赤潮は,プランクトンが海の酸素を使うため,魚が酸欠になります。

船の事故で流れ出した原油は,海底のサンゴや海藻を枯らし,海に生きる生物の食べ物を奪います。

魚網から逃れるようにして泳ぐウミガメ

3.  SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」から考える対策とは

SDGsの14番目に海についての目標があります。「海の豊かさを守ろう」とは,海と海の資源(魚など)を持続可能な方法で利用して海の豊かさを守っていこうという目標です。人間は魚などの海の資源を利用せず生きていくことはできません。地球の面積のうち70%を占める海の汚染は「地球の汚染」といっても過言ではないでしょう。地球を守るためにも,今すぐに対策が必要です。

世界は,海の豊かさを守るために対策を考えています。例えば,日本は海を赤潮から守るために水質汚濁防止法を改正し対策しました。排水基準を厳しくしたことで赤潮の発生は3分の一まで抑えることができました。

マイクロプラスチックに対しては,多くの国が対策を始めています。フランスは,使い捨てプラスチック容器の廃止,ケニアはプラスチック製レジ袋の製造と販売と使用と輸入も禁止しています。

船の事故は完全に防ぐことはできません。しかし,事故がおきてしまったときに備えて油吸着材や処理剤の開発,海の上で原油回収ができる回収船が活用されています。日本には,白山と清龍丸と海翔丸の3隻の回収船があります。

参考URL: https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=98

おわりに

海の汚染は,海だけにとどまらず食物連鎖によって再び人間に戻ってきます。

海を汚染から守ることは,巡り巡って人間を守ることになります。
SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」では,海の汚染だけでなく魚のとる量についても考えています。海の恵みを無駄にしない食べ方,海の豊かさを守る方法でとられた魚である証明のマーク「MSC認証マーク」がついた魚を選ぶことなどが今すぐ私たちの生活でできることです。

小さなことから大きな海を守っていきたいものです。

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