あなたの趣味をいかして”オンライン”で教える方法
はじめに
あなたは何か趣味がありますか?趣味を極めていると,「やり方を教えてほしい。」と言われることも多々あると思います。今回は,オンラインで人に物事を教える際のポイントについて解説していきます。人に教える場合,特に注意することは,相手への「見え方」と「話し方」です。「自分は画面上でどのように映っているのか。」「マイクを通した自分の話し方はどうなのか。」この2点は,オンラインで授業を行う上で,大変重要なポイントになります。
ここでは,オンライン上での分かりやすい教え方,かつ理解しやすい授業を作るポイントについて,いくつかの段階に分けてお話ししていきます。
A 先生として心掛けること
B オンライン先生に特化したポイント
C 多様な教育環境や受講生のニーズへの対応
A 教師として心掛けること
オンラインで先生をするといっても,先生をする上で変わることのない重要なことがあります。
それは,先生としての資質です。はじめに,この「先生として必要な資質」についてお話しします。
いわば,先生として「基本の構え」を知ることです。
授業計画を立てる:
どのような生徒に対して授業を実施するのか,授業の目的はなにか,・・・
1 対象は,どのような生徒なのか?(対象)
2 どのようなゴールに向かうのか?(目的)
3 どのような方法で学ぶのか? (方法)
事前にこのような内容を盛り込んだ計画を立てておくことが重要です。
コミュニケーションスキルの向上:
受講者とのコミュニケーションは大変重要です。このコミュニケーションでは,明確な伝達と魅力的なプレゼンテーションが必要です。自身のコミュニケーションスキルを継続的に向上させるために,トレーニングやフィードバックを受けることをおすすめします。このコミュニケーションスキルの中には,リレーション(関係作り)も含まれます。「この先生は楽しい!」とはじめに思ってもらえるかどうかの関係作りが大事になるということです。
ポジティブな雰囲気の醸成:
受講者とのコミュニケーションにおいては,ポジティブな雰囲気を醸成することが重要です。受講生の成果や貢献を称えることや,励ましの言葉を送るなど,受講者が学習に対して前向きな気持ちを持てるようにサポートしていくことです。
受講者の個別対応:
受講生の学習状況や進捗に応じて,個別のサポートやアドバイスを提供することも重要です。教室の授業以上に,オンライン授業では受講者一人ひとりとの接触が制約されるため,メールや個別相談の時間を設けるなど,個別対応の機会を積極的に作る必要があります。
ビジュアルコミュニケーションの活用:
文字認識が困難など,特別な資質を持った児童生徒に対してだけではなく,近年では,動画の流通により,多くの生徒(受講生)に対しては,ビジュアルコミュニケーションを活用することが効果的になっています。ビデオやウェブカメラを使用して,受講者と顔を見ながらコミュニケーションすることで,よりリアルな対話を実現しましょう。ただし,自分の顔を映像に映されることが苦手な生徒もいますので,その場合は配慮が必要になります。
フォローアップと振り返り:
授業終了後や次回の授業前に,受講生とのフォローアップや振り返りの時間を設けることで,学習の定着や理解度の確認を行います。受講生の疑問や課題を共有し,個別のサポートや追加の資料提供を行うことが重要です。
フィードバックの取り組み:
受講生の理解度や満足度を把握するために,定期的にフィードバックを収集しましょう。アンケートやオンライン評価フォームを活用することで,受講生の意見や要望を収集し,今後の授業改善に役立てることができます。事前の授業設計の段階で,この「振り返り」を組み込んでおくことが重要です。
B オンライン先生に特化したポイント
ここでは,オンラインに特化した様々な指導上のポイントについてお話ししていきます。
基本の構えを覚えたら,実践に即したさまざまな技(わざ)を覚えていきます。
コミュニケーション手段の提供:
オンライン授業では,リアルタイムの対面コミュニケーションが制限される場合があります。そのため,チャット機能や掲示板,メールなど,受講生が質問や意見を送信できる手段を提供しましょう。これによって授業外でもコミュニケーションを取る機会を与えることができます。
質問やフィードバックへの迅速な応答:
受講生からの質問やフィードバックに対しては,できるだけ迅速に回答するよう心がけましょう。これによって受講生は自分の疑問や意見が受け入れられていることを実感し,学習のモチベーションが高まります。
ディスカッションやグループ活動の促進:
受講者同士のコミュニケーションを活発化させるために,ディスカッションやグループ活動の機会を設けましょう。オンライン会議ツールのブレイクアウトルーム機能を使用することによって小グループでのディスカッションを実施することができます。
インタラクティブな教材や演習の提供:
単なる講義だけでなく,受講生が積極的に関与できるような教材や演習を提供しましょう。クイズや投票,グループプロジェクトなど,受講生が参加して学びを深める機会を設けることが重要です。
これらのポイントを意識しながら,受講者とのコミュニケーションを大切にすることで,オンライン授業の受講性を向上させることができます。
C 多様な教育環境や受講生のニーズへの対応
教育環境や受講者のニーズは多様であり,個に応じた柔軟なアプローチが求められます。以下では,受講者とのコミュニケーションを深めるための追加のポイントをいくつか挙げます。ここでは問題に対処するための,対応策について説明します。
オンラインコラボレーションツールの活用:
受講者とのコミュニケーションを円滑にするために,オンラインコラボレーションツールを積極的に活用しましょう。グループチャットや共有ドキュメントやビデオ会議ツールの機能を利用することで,受講者同士のコミュニケーションや協力が促進されます。
受講者の関心やバックグラウンドに配慮:
受講者が異なるバックグラウンドや関心を持っていることを考慮しましょう。教材や例題を選ぶ際には,多様な視点や興味を反映させることが重要です。また,受講者の事前知識や学習目標に合わせてカスタマイズされたアプローチを取ることも効果的です。
テクノロジーのトラブルシューティング:
オンライン授業では,受講者がテクノロジーの問題に直面することがあります。受講者がスムーズに授業に参加できるよう,テクニカルサポートを提供することが重要です。テクノロジーのトラブルシューティングに関する手順や連絡先を提供し,問題解決に迅速に対応しましょう。
受講者のフィードバックの活用:
受講者からのフィードバックを積極的に収集し,授業の改善に反映させましょう。アンケート調査やフィードバックフォームを使用して,受講者の意見や要望を把握し,授業の質を向上させるためのアクションを取りましょう。
学生の参加を促す活動の導入:
受講者の積極的な参加を促すために,さまざまな活動を取り入れましょう。例えば,グループディスカッション,ロールプレイ,クイズ,デモンストレーションなど,受講生が実践的な学習体験をする機会を提供します。また,受講者の意見や経験を共有する場を設けることも効果的です。
コミュニティの形成:
受講者同士がお互いに支え合い,学習のコミュニティを形成することも重要です。授業内でグループ活動やパートナーワークを行うことで,受講生同士の交流と相互支援を促しましょう。また,オンラインフォーラムやSNSグループなど,授業外でも受講生同士がつながり合える場を提供することも有効です。
視覚的なサポートの提供:
ビジュアル教材やグラフィックスを活用することで,受講者が視覚的に理解しやすくなります。図表やイラスト,スライドプレゼンテーションを使用して,内容を補完し,受講者の理解を深める手助けをしましょう。
インタラクティブなツールの活用:
オンラインツールやアプリケーションを活用して,受講者とのインタラクティブな学習環境を作りましょう。投票ツールや共同編集ツール,仮想ホワイトボードなどを使用することで、受講生が授業に参加しやすくなります。
ポジティブな言葉遣いと声のトーン:
授業中は,ポジティブな言葉遣いと声のトーンを意識しましょう。明るくエネルギッシュな態度を持ち,受講者に対して応援や称賛の言葉を使うことで,学習意欲を高めることができます。
定期的な振り返りと改善:
授業の終了後に振り返りを行い,授業の改善点や改善すべき点を明確に把握しましょう。受講者からのフィードバックや成績データを分析し,授業の効果や課題を把握することが重要です。改善点を特定し,次回の授業や将来のオンライン授業のためにそれらを反映させる努力を行いましょう。
まとめ
以上のABCを学び,身につけて実践することで,先生としての自覚を身につけ,オンライン授業における受講者とのコミュニケーションを向上させることができます。それに基づいて,受講生に対する臨機応変の対応を体得することができるようになり,良好な関係を続けていくことができるようになります。
個性のある受講生に対しても,柔軟性を持ってニーズに対応することで,受講者が学びを楽しみながら積極的に参加できる環境を整えていくことが重要になります。
今まで述べたことは,教科や学科の指導だけではなく,「折り紙」や「アクセサリー作り」など,ご自分の趣味などを「オンライン」で教える際にも,参考になりますので,実践してみてはいかがでしょうか。