「LIFE SHIFT(ライフシフト)」を“自分の生き方”に取り入れる方法
2016年10月に日本で刊行された,リンダ・グラットン著「ライフシフト」が大反響を呼びました。
人生100年時代のムーブメントが日本中に起こり,人生戦略を考え直す契機になりました。一方で,このライフシフトの「意味が分かりにくい」「難しい」と感じた方も多かったのではないでしょうか?
そこで今回は,ライフシフトの意味を分かりやすく解説していきたいと思います。
「ライフシフト」100年時代の人生戦略の解説
ライフシフトでは,最も重要なポイントとして「3ステージから脱却し,マルチステージの人生を歩もう」ということを記しています。
3ステージとは,「学び(学生)のステージ」→「仕事(職業人)のステージ」→「リタイヤ(老後)のステージ」という3つのステージを歩むとする今まで一般的だった考えに対して,これから100年生きることを前提とした「人生100年時代の歩み方」に立った考えを身に付けることを促しているのです。
従来の3ステージ
学びのステージ | 児童・生徒・学生 |
働くステージ | 職業人(サラリーマン・職人など) |
リタイヤのステージ | 老後 |
つまり,必要に応じて3つのステージを行ったり来たりするマルチステージの道を歩むことを促しているのです。
これからのマルチステージ
エクスプローラー | 日常生活と行動を切り離して,自分の好きと得意を発見していくステージ |
インディペンデント・プロデューサー | 職をさがすのではなく,自分で職を生み出すステージ |
ポートフォリオ・ワーカー | 異なる種類の活動を同時に行うステージ |
ステージを変えるためには,次のステージに移行する期間が必要になりますが,各ステージへの移行期間は戦略的に行い,エネルギーの再補充だけではなく,自分自身の再創造も行って,無形資産の構築に重点を置くようにするとします。
※無形資産とは,土地,建物,機械設備などの有形資産に対して,特許,商標,ノウハウ,信用,人気など物理的形状を持たない資産のこと。知識経済化が進む今日では,有形資産のほかに,こうした活動が蓄積された 「無形資産」の重要性が国際競争市場においても増しています。
ここでいうライフシフトの無形資産とは,「生産性資産」「活力資産」「変身資産」の3つを指します。具体的に以下のような内容を指します。
ライフシフトにおける3つの「無形資産」
生産性資産 | スキル・評判・人気など |
活力資産 | 健康・友人・愛など |
変身資産 | 自己理解や多様な人脈など |
この3つの無形資産は,マルチステージを生き抜いていくために不可欠な資産であり,これまでのように有形資産を多く持つことが成功の証(あかし)とする従来の考え方ではなく,信用や健康,人脈などの無形資産を構築することが,長い人生の様々な場面におけるリスクを低くすることができると考えられているのです。
そのためライフシフトでは,3つのステージを行き来するマルチステージを歩むことが重要であり,そのための無形資産の構築が不可欠だと述べているのです。
そして,そのためには,「お金」と「時間」の使い方を再度見直す必要があると言及しているのです。
「お金」の使い方については,金融リテラシーを向上させて,お金に対する自己肯定感を高めることで,実生活においてセルフ・コントロールを行って株の運用や生活コストの削減を図るとしています。
また,「時間」の使い方については,学び直しを行い自己の再創造を図っていくことや,社会が求める時間の使い方を知ることが重要だとされます。
まとめ
以上,ライフシフトでは,人が100年時代を生きていくための人生の歩み方について言及していますが,ポイントの1つ目として,人生を「学び」→「仕事」→「リタイヤ」という区分で理解する今までの人生観とは違うマルチステージの観点から述べていること。
ポイントの2つ目として,人生を繋がったものとしてとらえることを促すライフシフトの視点から考えることで,「無形資産」を戦略的に築いていく方法や「お金」や「時間」の使い方などについて新たなプランを描くこと,を挙げることができます。
生涯に対する自己理解を深めて,自分が本当に大切にしたい価値観や自分自身の強みについて深く理解することで,自分にとってより良い人生プランを選択することができるのではないでしょうか。