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家庭・親子で学ぶ編・・一緒に料理で学ぶ「段取り力」〜包丁より大切な“準備と順序”のスキルとは?〜【段取り力チェックシート付き】

  
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家庭・親子で学ぶ編・・一緒に料理で学ぶ「段取り力」〜包丁より大切な“準備...

キーワード:段取り力の育て方、親子でできる料理教育、子どもの自己管理スキル、家庭でできるライフスキル教育、料理を通じた非認知能力育成、子どもと料理のメリット、親子コミュニケーション向上法

はじめに:「早く手伝ってよ!」と言う前に、考えてみたいこと

夕方。仕事を終え、バタバタしながら夕食の準備をしていると、子どもがやってくる。

「ねえ、何か手伝おうか?」

ありがたい。でも、内心はこう思う──「いや、逆に遅くなりそう・・・」実はここに、教育のタネがあります。

料理という日常の行為の中には、段取り=物事の順序を考え、計画を立てて実行する力が凝縮されているのです。

今回は、親子で一緒に料理をすることで育つ「段取り力」に焦点を当て、具体的な効果や実践方法、世界の事例を交えて解説します。

料理は、最高の“生活型トレーニング”です。

第1章:「段取り力」とは?なぜ子どもに必要なのか?

「段取り力」とは、物事の準備・順序・優先順位を考え、スムーズに進めるためのスキルです。学校や塾では教えづらいけれど、社会では非常に求められる力のひとつです。

◆ 段取り力がある子どもは…

• 宿題や準備物を“計画的に”終わらせられる
• 忘れ物や遅刻が少なくなる
• 作業の優先順位を自分で考えられる
• 複数のことを順序立てて処理できる(例:明日の準備+服選び+お弁当チェック)

「段取り力」は、まさに「生活力」と「自己管理力」の土台とも言える力なのです。

第2章:なぜ“料理”が段取り力を育てるのか?

料理とは、準備→調理→片付けまでの一連の流れを、時間と手順を意識しながら進める行為。子どもにとっては、まさに段取り力の宝庫です。

◆ 料理に含まれる“段取り要素”

• 材料の下ごしらえ(どれを先に洗う?切る?)
• 加熱のタイミング(ご飯と味噌汁、どちらから?)
• 道具の使い分け(包丁、まな板、鍋)
• 盛り付けと配膳(美しさと順番)
• 終わった後の片付け(洗い物の順序)

こうした一つひとつが、「考えてから動く」習慣につながります。

第3章:実践の流れ~親子で育てる段取りスキル

🔪 ステップ①:メニューを一緒に決める

「今日は○○を作ろうか」ではなく、「○○と○○、どっちが作りやすいと思う?」「この材料で、何ができそう?」と問いかけから入ることで、“選択と判断”を体験できます。

🛒 ステップ②:買い物リストをつくる

「この料理に必要な材料は?」「家にあるものは何?」
→ 調査力+リスト化力が育つ

◎ おすすめアクティビティ:
• スーパーで“自分で探して選ぶ係”を担当させる
• 金額と予算内で収める「節約係」もよい

🍳 ステップ③:手順を紙に書く or 声に出して確認

• どれを最初にする?
• 同時進行するにはどうする?
• 使った道具はどこに置く?
→ “段取り会議”を小さく体験することで、戦略的思考が育ちます。

🧽 ステップ④:調理+片付けも含めて“プロセス管理”

「最後にキッチンがきれいだったら満点!」というように、料理=イベント全体としてとらえることで、完結力も磨かれます。

第4章:実践して変わった!親子のリアルな成果

🎯 小学4年生の事例(親のコメント)

「最初は“火使いたい!”“切らせて!”ばかりでしたが、段取りを一緒に考えるようにしたら、落ち着いて“じゃあ先にこれやっていい?”と聞いてくれるようになった。」

🎯 中学生の事例(子どもの声)

「料理してると、時間がちゃんと流れてる感じがして気持ちいい。

1回だけ失敗したけど、“次はどうすればいいか”を考えるのが面白かった。」

🎯 保護者の満足度向上ポイント

• 子どもとの会話が増えた
• 「任せられる」「信頼できる」と思えた
• 忙しい日でも「やってくれる人がいる」安心感

第5章:諸外国の実践例~料理を通じたライフスキル教育

🇫🇮 フィンランド:小学校家庭科での“段取り体験”

• 週に1度の「料理プロジェクト」では、献立決めから盛り付けまでをチームで段取り化
• 子ども同士で「どっちが先?」「何分くらい?」を話し合うプロセスに重点
• 「料理=時間管理トレーニング」として評価されている

🇨🇦 カナダ:親子料理教室で“計画力”育成

• 公共施設で開催される「親子キッチンプログラム」では、タイムチャレンジ方式
• 制限時間内で作ることで、“逆算力”と“優先順位”の意識を育成
• 自分たちで立てた段取り表を振り返る時間も確保

🇫🇷 フランス:食育とマナーをセットで段取り学習

• 食事は“文化体験”として扱われ、段取り・準備・配膳・片付けまでが一貫教育
• 「一品ずつ順に出す」など時間設計された食文化の中で、自然に段取り力が育まれている

第6章:段取り力を育てる“家庭料理プログラム”提案

🧩 おすすめミニミッション

ミッション 内容

「10分で朝食」チャレンジ 自分で材料を選び、タイマーを使って作る
「レシピの逆算プラン」 完成時間から逆に手順を考える
「2品同時進行作戦」 副菜と汁物を同時に仕上げる計画を立てる
「買い物予算ゲーム」 限られた予算でレシピを組む戦略を立てる

まとめ:「段取り力」は、“生活の中で磨かれる知的筋肉”

料理は、ただの家事ではありません。

計画、判断、優先順位、時間感覚、完結力──すべてが詰まった、最高の教育フィールドです。そして、親子で一緒に取り組むことで、コミュニケーション力、信頼関係、自立心も育まれます。今日の夕食、ちょっと時間がかかっても大丈夫。

段取り力」という“目に見えないスキル”が、着実にテーブルの上で育っています。


【段取り力チェックシート】

このワークシートは、子どもたちが日常生活や学習、活動の中で「段取り力=計画的に進める力」を育てるために、自分の行動を毎日ふり返る形式で設計されています。

✅ 含まれる項目

1. 毎日の確認ポイント(○×で記録)

  1. 今日やるべきことを朝のうちに考えた
  2. 宿題や課題の順番を決めて取り組んだ
  3. 時間内に終わるように工夫した
  4. 道具や持ち物を先に準備してから始めた
  5. うまくいかない時にやり方を変えてみた
  6. 家族や友だちと役割分担をして動いた
  7. 最後に後片づけまでしっかりできた

2. 週間チェック表(○×記入)

月〜日まで、毎日それぞれの項目について○×を記録するマトリクス形式の表で、1週間の振り返りが一目でわかります。

3. ふりかえりメモ欄

  • 今週うまくできた段取りは?
  • 来週に向けて工夫したいことは?

🎯 活用シーン

  • 家庭学習の補助として
  • 小学生の生活習慣形成に
  • 自己管理スキルの育成プログラムの一環として
  • 学校の道徳や生活・特別活動の振り返り用教材として