学校に縛られない学び編〜勉強より楽しい!? DIYから学ぶ算数と物理〜【DIYから学ぶ算数と物理ワークシート付き】
キーワード:
DIY学習、算数の実践学習、物理の実験、学校に縛られない学び、実体験で学ぶ教育、家庭でできるSTEM教育
はじめに:教科書よりワクワクする学びって?
「子どもが勉強に集中しない」「計算や理科の授業に興味を持たない」・・・そんな悩みを抱える保護者や先生は少なくありません。
でももし、子どもたちが夢中で遊ぶ中で、自然と「算数」や「物理」を身につけていたとしたら?――それが、「DIY」×「学び」の融合です。
今回のテーマは、【DIY=Do It Yourself】の活動から、自然に身につく「算数」と「物理」の力に注目します。学校の枠を超えて、暮らしの中にある学びの喜びを引き出すヒントをお届けします。
第1章:DIYと算数・物理の絶妙な関係
DIYは単なるものづくりではありません。木材を切る長さを測ったり、ネジの位置を揃えたり、設計図を描いたり・・・そこには自然に「算数」や「物理」の概念が詰まっています。
- 長さの測定(ミリ・センチ)=単位変換
- 重さとバランス=てこの原理や重心
- 角度の調整=図形・角度の理解
- 材料の強度比較=物理の素材特性の基礎
- 消費量の見積もり=割合・面積・体積計算
これらは、教科書で数字だけを追うよりもはるかに「実感」しながら学べる内容です。自分の手で作るという体験が、記憶に定着しやすく、深い理解につながります。

第2章:実践例①「本棚づくり」で学ぶ算数
たとえば、簡単な「本棚」を作るDIYを考えてみましょう。幅60cmの棚板を3枚、縦に並べて棚を作るとします。
このとき、必要な板の長さや厚み、間隔を考えることで、自然と以下の学びが発生します。
- 全体の高さを求める=足し算と引き算
- 板の枚数から必要なねじの数を算出=かけ算
- ネジの間隔を均等に配置=分数と割り算の応用
- 余った木材で何が作れるか考える=応用力と創造性
子どもたちは自分の「手」と「頭」を同時に使うことで、「勉強っぽくない勉強」ができるのです。
第3章:実践例②「ペットボトルロケット」で学ぶ物理
もう一つ、理科の授業にもつながるDIYが「ペットボトルロケット」です。水と空気圧で飛ばす手作りロケットは、子どもたちに大人気ですが、ここでも実は物理のエッセンスがたっぷり。
- 水の量を変えると飛距離はどう変わる?
- 空気をたくさん入れるとどうなる?
- 発射角度を変えると飛び方はどうなる?
これらを実験しながら観察し、記録し、原因と結果を考察するプロセスこそ、探究的な「理科」の学びそのものです。
第4章:DIYを通じた具体的な成果と満足度の向上
実際にDIY活動を導入した教育実践の中で、以下のような成果が報告されています。
- 子どもが「算数って使えるんだ」と実感し、苦手意識が減った
- 完成した作品を通して「やり切った達成感」を得られた
- 親子で一緒に作ることで、家庭内のコミュニケーションが増えた
- 失敗してもやり直す姿勢=レジリエンス(折れない心)が育った
- 図面を描く経験から、「論理的に考える力」がついた
こうした実践例は、学力テストには現れない「非認知能力」や「思考力・判断力・表現力」の土台を作る上で、非常に有効であるとされています。

第5章:諸外国の事例:アメリカ・フィンランド・ドイツ
●アメリカ:「メイカームーブメント」の推進
アメリカでは「メイカームーブメント(Maker Movement)」という潮流があり、STEM教育と連携して、子どもたちにDIYやロボット制作などの実践型学習を推進しています。多くの学校に「メイカースペース」があり、工具や材料が揃い、創造力を伸ばす場として機能しています。
●フィンランド:「現象ベース学習(Phenomenon-Based Learning)」
教科を超えて学ぶ「現象ベース学習」では、DIY的な活動も多く採用されています。棚を作る、ブリッジを設計する、家を改築するなどのプロジェクトを通じて、数学・物理・美術・社会などが横断的に結びつけられています。
●ドイツ:「職人教育と学びの融合」
ドイツでは伝統的に手工業が尊ばれており、教育段階から木工・金属加工などの技術と算数・物理がセットで教えられています。子どもたちは手を動かしながら「なぜこうなるのか」を考える文化が根付いています。
第6章:家庭や地域でもすぐできる!DIY×学びの始め方
- 家庭で一緒に「組み立て家具」を作ってみる
- キャンプ用品や簡易棚を親子で作る
- 廃材を活用した工作プロジェクトを始めてみる
- 近所のワークショップやホームセンターの体験講座に参加する
材料は100円ショップでも揃います。大切なのは「一緒に作る」「やってみる」ことです。失敗も含めて、子どもにとっては貴重な学びの宝庫です。
おわりに:遊びながら、学ぶ。そして育つ。
DIYは、手を動かす楽しさ、完成したときの達成感、そして工夫する中での「思考力」や「創造性」を総合的に育ててくれます。しかも、子どもたちは「学んでいる」という意識すら持たず、自然とスキルを伸ばしていくのです。
「勉強しなさい」と言う前に、「一緒に何か作ってみよう」と声をかけてみてください。きっと、教科書では得られない学びの時間が待っています。
【DIYから学ぶ算数と物理ワークシート】
ステップの内容:
活動テーマ
ステップ1:計画を立てよう
ステップ2:算数を探してみよう
ステップ3:物理を探してみよう
ステップ4:ふりかえり
自由記述