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未来をデザインする編~「やりたいこと」と「できること」のギャップを楽しむ~【ギャップマップワークシート付き】

    
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未来をデザインする編~「やりたいこと」と「できること」のギャップを楽しむ...

キーワード: 
やりたいこととできることの違い、キャリア教育 ギャップ、探究学習 実践例、フィンランド 教育、デザイン思考 中学生、自己肯定感 育てる方法

はじめに:理想と現実のあいだにある、人生の「余白」

誰しも一度は感じたことがあるでしょう。「自分のやりたいこと」と「今できること」が一致しないというもどかしさ。たとえば「世界一周したいけど、お金も時間もない」とか、「音楽家になりたいけど、ピアノは初心者」というような、理想と現実のギャップ。

この「ギャップ」は一見するとネガティブなもののように見えますが、実は創造力や成長力の源でもあります。

このブログでは、「やりたいこと」と「できること」のギャップをネガティブに捉えるのではなく、むしろ「楽しむ」「遊ぶ」「デザインする」という視点で前向きに活用する方法について、国内外の事例や実践方法を交えて詳しく解説していきます。

第1章:「ギャップ」は問題ではなく、可能性の源泉である

現状を正しく見つめる力

まず大切なのは、「自分に何ができるのか」を冷静に見つめること。これは自己認識の訓練にもなります。たとえば、「YouTuberになりたい」という夢を持つ中学生がいたとします。しかし、まだ編集スキルも話し方も未熟で、何から始めていいか分からない。この時、「今は話す練習を毎日5分やってみよう」「スマホで短い動画を撮ってみよう」といった形で「できること」を具体化していくと、自信が少しずつ積み上がっていきます。

「理想」と「現実」のあいだにこそ創造がある

「できること」だけに集中すれば、効率的ではありますが、そこには夢も冒険もありません。逆に、「やりたいこと」だけを見ていると空回りします。大切なのは、「やりたいこと」を羅針盤として持ちつつ、「できること」を日々積み重ねていくこと。このあいだにこそ、創造力が生まれる余白があります。

第2章:ギャップを楽しむことで得られる具体的な効果と成果

1. 自己効力感が高まる

ギャップを「乗り越えるべき壁」ではなく「楽しむもの」として捉えると、途中でつまずいたときも「これは成長のチャンスだ」と思えるようになります。その結果、挑戦に対する心理的ハードルが下がり、成功体験が積み重なっていくことで自己効力感(自分にはできるという感覚)が高まります。

2. 人間関係にも好影響

「自分はまだ完璧じゃない。でもそれでいい」と認められるようになると、他人の未熟さにも寛容になります。これは、教育現場や職場において「協働する力」「共感力」を育む上で非常に有効です。

3. 長期的なキャリア形成への好影響

現代社会において、キャリアは一本道ではありません。多くの人が複数のスキルや経験を組み合わせながら、自分らしい働き方を模索しています。「ギャップを楽しむ」という感覚を持っている人は、変化を前向きに受け止めることができるため、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代を生き抜く強さにもつながります。

自分の前に「立ちはだかる壁」を「成長のチャンス」と捉えることも大切です。

第3章:世界の実践例から学ぶ「ギャップを楽しむ」教育法

アメリカ:「デザイン思考」を取り入れた探究学習

シリコンバレーでは、子ども向けの教育において「Design Thinking(デザイン思考)」が広く活用されています。「理想の未来を描き、現状の課題を分析し、小さな改善を積み重ねる」というプロセスは、まさに「やりたいこと」と「できること」のギャップを楽しむ練習となります。

例)小学生が「無人の図書館サービスを作りたい」と発表。プログラミングができない段階でも、段ボールで試作を作り、クラス内で実演→改良→再発表というサイクルを回すことで、「理想」を楽しみながら「できること」を増やす姿勢が育まれていました。

フィンランド:ギャップを対話で探る「現実対話セッション」

フィンランドでは、小中学校のキャリア教育において、「今の自分にできること」と「将来やりたいこと」を紙に書き出し、グループで共有・対話するワークが定期的に行われています。ギャップを一人で抱えるのではなく、対話によって共有し、フィードバックを得ながら柔軟に進路を考えるという姿勢が特徴です。

第4章:家庭や学校でできる「ギャップを楽しむ」ワーク

ステップ1:「やりたいこと」と「できること」を可視化する

用意するもの:白紙のA3用紙とペン
左側に「やりたいこと」、右側に「今できること」をリストアップします。その中間に「これからやってみたいこと」を書き込み、線でつなぐようにすると、自分の可能性の広がりが視覚的に見えてきます。

ステップ2:小さな挑戦を設計してみよう

「海外で働きたい」が夢なら、「英語を1日10分話してみる」
「起業したい」なら、「近所でフリーマーケットを開いてみる」
といった具合に、ギャップを埋めるための「一歩目」を具体的に設定し、それを楽しんで記録していくことで、次の一歩が自然と見えてきます。

ステップ3:失敗も「素材」にする

やってみたけどうまくいかなかった。そんな時も、「なぜ失敗したか」を一緒に分析し、そこから「何が学べたか」を言語化することで、自己成長に変換できます。この過程こそが、「ギャップを楽しむ力」そのものです。

おわりに:「足りない」は、未来の入り口

「やりたいこと」があっても「今はできない」というギャップは、誰にでもあるものです。しかし、そのギャップをネガティブに捉えるか、ポジティブな創造の余地と捉えるかによって、その後の人生は大きく変わります。

「足りない」ことに気づけるというのは、自分の未来をデザインする第一歩。「今あるもの」と「まだないもの」のあいだを楽しむことができれば、人生はもっと自由で、もっと面白くなります。

さあ、あなたも自分の「ギャップマップ」を描いて、未来の自分と遊んでみませんか?


【ギャップマップワークシート】

📘 ワークシートの構成内容

  1. やりたいこと(WANT) 自分が情熱を持って取り組みたいと思っていることを自由に書く欄です。
  2. できること(CAN) 現在の自分のスキル、経験、環境、人脈など、実行可能なリソースを列記する欄です。
  3. ギャップ(GAP) やりたいことと、今の自分にできることの間にある差や課題を書き出すセクションです。
  4. ギャップをどう楽しむか?(ENJOY) ギャップから得られる学び、面白さ、発見をポジティブに捉える思考整理の欄です。
  5. 次の一歩(STEP) ギャップを埋めるために自分がすぐにできる「小さな一歩」を明文化する欄です。