遊びと学び編・・砂遊びで学ぶ「クリエイティブ教育」~自由な手から生まれる学びの力~【砂遊び〜保育園・幼稚園向け研修資料付き】
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#砂遊び教育 #クリエイティブ教育 #非認知能力 #幼児教育アイデア #家庭でできる砂遊び #フィンランド教育 #テファリキ #レッジョエミリア #ハンズオン学習 #遊びから学ぶ力
はじめに:「何をしてるの?」と聞くと、物語が始まる
「これはね、お城じゃないよ!王様が住んでる“火山の中のおうち”なの!」
「ここはね、ダムなの!水がくるとここで止まるんだよ!」
公園や砂場で、子どもたちが夢中になって砂を掘り、積み、崩し、また作り直す―― その光景は、大人から見るとただの「遊び」に見えるかもしれません。
でも、その一掘り一掴みの中には、想像力・創造性・問題解決力・計画力がぎゅっと詰まっているのです。
このレポートでは、「砂遊び」がなぜ“クリエイティブ教育”として注目されているのか、その背景や効果、そして国内外の実践例を交えて、楽しく・深く・わかりやすく解説していきます。
第1章:砂遊びは“クリエイティブ教育”の原点
1-1 なぜ砂遊びが学びになるのか?
砂遊びは、ルールもゴールもありません。
子どもが“自由に目的を決め、自分でルールを作り、その世界を自分で育てる”という、極めて主体的な活動です。ここでは以下のような力が自然に育ちます。
- 創造力(何を作るかを自分で決める)
- 空間認識力(立体や構造を意識して造形する)
- 集中力(納得いくまで作り直す)
- チームワーク(共同で城やトンネルを作る)
- 言語化能力(作品を説明し、物語を語る)
まさに、クリエイティブ教育に必要な“非認知能力”の宝庫なのです。
1-2 砂遊びは“思考を手で考える”活動
面白いのは、子どもが砂を扱う時、頭で考える前に手が動くこと。
これは、手の中で試行錯誤する「体感型思考」であり、幼児教育で重要視されるハンズオン学習(hands-on learning)のひとつです。
「砂は失敗してもすぐにやり直せる。だから、自由に挑戦できる」という安心感が、子どもたちの「創造する勇気」を育ててくれるのです。

第2章:砂遊びで育つ“未来のクリエイター”
2-1 問題解決力と構造的思考
砂遊び中に「水が漏れちゃった」「トンネルが崩れた」といったトラブルが起きると、子どもたちは自然と「どうしたら崩れないか」「どこに水を流すといいか」と考えます。これは、“失敗”から“設計”を学ぶ構造的思考力の初歩です。
しかも、それを指導されずに“遊び”の中で身につける点が非常に重要です。
2-2 共創と対話の力
2人以上で一緒に砂遊びをすると、そこには「役割分担」や「交渉」「共同意思決定」が生まれます。
- 「このトンネル、こっちから掘ろうよ」
- 「川をつなげるから、そっち側広げて」
- 「ここに道を作って、車走らせよう」
このようなやり取りを通して、社会的スキル(ソーシャルスキル)が自然に育ちます。
砂場は、“小さな社会”のシミュレーション空間なのです。
第3章:実践による効果と保護者の満足度
砂遊びを意識的に取り入れている保育園・幼稚園・家庭では、以下のような具体的な成果が見られています。
✅ 創造的思考の向上
「絵を描く時に物語をつけるようになった」
「ブロック遊びでも独自の世界観を作るようになった」
✅ 感情の安定
「砂を触っていると落ち着く」「気持ちをうまくコントロールできるようになった」
✅ 集中力の強化
「1時間以上集中して一人で城を作っていた」
「時間を忘れて遊ぶ様子に驚いた」
✅ コミュニケーション力の向上
「他の子に“こうするといいよ”と提案できるようになった」
「自然と“ありがとう”“貸して”が出るようになった」
保護者からは「テレビやタブレットでは見られない“本物の集中”が見える」と感動の声も寄せられています。

第4章:諸外国の実践例に学ぶ
🇫🇮 フィンランド:Play-Based Learning(遊び中心学習)
フィンランドの幼児教育では、学力よりも「遊びの中にある学び」を最重要視します。
特に砂や泥を使った活動は“創造と発見のベース”とされ、園庭は土や砂が当たり前の環境です。
🇳🇿 ニュージーランド:テファリキ・カリキュラム
国家教育カリキュラム「Te Whāriki」では、子どもの主体性と探究心を伸ばすため、自由遊びが重視されます。
砂遊びや水遊びも「クリエイティブ・エクスプレッション」として、認知スキルと並ぶ評価対象とされています。
🇮🇹 イタリア:レッジョ・エミリア・アプローチ
この教育法では、子どもが100の言葉を持っているとし、砂や木、布などの素材を通じて「感じ、表現する」ことを大切にしています。
砂遊びはその“100の表現”の代表格であり、「思考を手で語る」教育の中核です。
第5章:家庭での砂遊びを“学び”に変える工夫
砂場は公園だけでなく、家庭でも工夫次第で作ることができます。室内でも安全な「室内砂(キネティックサンド)」を使えば、天候に左右されず遊べます。
おすすめの家庭実践アイデア:
- ✅ テーマを決めて遊ぶ(「宇宙基地」「動物園」「迷路」など)
- ✅ お話をつける(作ったものに名前をつけ、物語を語ってもらう)
- ✅ 写真で記録し、作品アルバムを作る(後日ふりかえり学習に)
- ✅ 砂遊び×自然素材(木の実、小石、水)でアート活動に発展
こうした関わりで、遊びを「ただの遊び」から「意味ある学び」に昇華できます。
まとめ:「遊び」は“未来の創造者”を育てる学びの舞台
砂遊びは、教科書も指導書も使わないけれど、子どもたちに最も深い「考える力」を届けてくれる活動です。
- 自分で考えて、失敗して、やり直して
- 誰かと協力して、工夫して、完成させて
- 作ったものを壊して、また新しいものを生み出して
このサイクルは、まさにクリエイティブな人生そのもの。
未来を生きる子どもたちにとって、“砂遊びこそ最初のプロジェクトベース学習”なのです。
【砂遊び〜保育園・幼稚園向け研修資料】
📘 資料の内容(概要)
🟠 第1章:研修のねらい
砂遊びを“非認知能力”育成の視点から再評価し、創造・共創・感情調整などの力を現場にどう活かすかを明示。
🟠 第2章:砂遊びの教育的価値
創造力・集中力・社会性・構造的思考など、多角的な育ちを具体例とともに紹介。
🟠 第3章:実践の工夫とヒント
テーマ遊び・素材活用・声かけ・記録の取り方など、保育現場で明日から使える実践アイデアを提案。
🟠 第4章:国内外の事例紹介
フィンランド、ニュージーランド、日本の園での先進事例を紹介。多様な保育観との接続を図る。
🟠 第5章:ふりかえりとアクションプラン
自園での実践を見直し、研修後の行動計画につなげるための問いかけを収録。