【遊びと学び編】鬼ごっこで育てる“予測力”~子どもが夢中になる「追いかけ遊び」は、実は最高の思考トレーニングだった~
はじめに:「走ってるだけで、学び?」──そう思ったあなたへ
ある放課後、公園で。
小学生たちが笑いながら走り回る姿。
「タッチ!」「逃げろー!」「今だーっ!」と声を上げ、全速力で駆ける様子に、大人はつい「元気だなぁ」とほほえましく見守りますよね。
でも〜〜ふと思うわけです。
「これって、ただ体力を消耗してるだけなんじゃない?」
「どうせなら、もっと“教育的な遊び”をさせた方がいいんじゃ…?」
実は、それは大間違いです。「鬼ごっこ」には、現代の教育で注目されている「予測力」を育てる驚きの効果があるのです。
このレポートでは、そんな“追いかけっこの真の姿”に迫りながら、家庭や学校でも活かせるアイデア、国内外の教育事例、そして具体的な成長エピソードまでをご紹介します。
第1章:「予測力」ってどんな力?なぜ、子どもに必要なの?
予測力とは、「これから起こることを先読みし、自分の行動を調整する力」です。この力が発揮されるのは、何もスポーツやゲームの中だけではありません。
たとえば・・・
- テスト勉強:出題範囲や出題傾向を読んで、効率的に準備する
- 対人関係:相手の反応を想像して、発言や行動を変える
- 災害対策:変化の兆しを感じ、早めの避難を選択する
つまり、予測力は「変化の時代を生き抜くための知恵」なのです。しかもこの力、実は机の前よりも「公園の中」でこそ鍛えられることが分かってきました。
そう、それが「鬼ごっこ」です。
第2章:なぜ鬼ごっこは“最高の思考トレーニング”なのか?
「ただ走ってるだけでしょ?」
〜〜そう思った方、ぜひ以下の「鬼ごっこに潜む思考プロセス」を見てください。
✅ 観察:周囲の動きを素早く把握する
- 鬼は誰か?
- 鬼の位置は?スピードは?
- どの方向から来そう?
まるで、戦場の指揮官のように、視覚と聴覚をフル稼働して情報を集めています。
✅ 予測:鬼の次の動きを先読みする
- 鬼は次に誰を狙う?
- 自分が狙われるとしたら、どのタイミング?
- 今、どっちに逃げたら安全?
この瞬間に、予測力と空間認知力が同時に鍛えられます。
✅ 判断:その場の最適な行動を決定する
- 今は走る?隠れる?
- 鬼を引きつけて仲間を助ける?
「答えのない問題に、自分なりのベストを出す」〜〜まさに探究的な学びの本質が、遊びの中にあります。
第3章:もっと深く学べる!鬼ごっこの“学び化”アイデア5選
① マップ付き戦略鬼ごっこ
白地図を描き、障害物や安全エリア、鬼の拠点を設定。戦術を立ててからスタート!
- 作戦会議 → 実行 → 反省会、の流れでまるで探究学習
- チームの連携力、空間戦略、振り返り力が自然と身につく
📌おすすめ:学校の体育の授業・地域の遊びイベントでも応用可能
② サイレント鬼ごっこ(音禁止ルール)
言葉を封じられた状況で、五感を研ぎ澄まして動く。
- 気配、風、足音から敵の動きを読む
- 表情や視線の非言語コミュニケーションが育つ
- 集中力が高まり、「今ここ」に意識を向ける力がつく
③ ゾーン制バトル鬼ごっこ
エリアをいくつかの「ゾーン」に分け、ゾーンごとにルールが異なる形式。
- ゾーンA:走ってはいけない
- ゾーンB:後ろ向きにしか動けない
- ゾーンC:仲間と手をつないで逃げる
これにより、子どもたちは「状況に応じて戦術を変える柔軟性」を学びます。
④ タイムリミット付き鬼ごっこ
鬼が交代するまでの時間制限あり。子どもたちは時間を意識しながら動き、時間管理とリスク判断を同時に学べます。
⑤ “自作ルール”鬼ごっこ
子どもたち自身にルールを作らせることで、論理構築力と交渉力が育ちます。
「このルールだと鬼が強すぎる」「もう少し逃げる側に有利な要素を追加しよう」
⇒ これはまさに、社会の“ルール形成”の縮図!

第4章:実践の効果と、子どもたちの変化エピソード
🟩 成果1:「考える遊び」が、子どもを変える
実際に、保育園や小学校で“学び型鬼ごっこ”を導入した現場では、次のような変化が見られました。
- 「走るだけだったのに、戦略を練るようになった」
- 「周りを見る力が明らかに上がった」
- 「自分の行動を振り返って話せるようになった」
鬼ごっこは、子どもたちの「思考スイッチ」を入れる最高の遊びなのです。
🟩 成果2:非認知能力の向上が顕著に
予測力以外にも…
- 判断力
- 自己コントロール力
- チームワーク
- 負けを受け入れる力
といった「テストでは測れない力=非認知能力」が、自然と育っていきます。
第5章:諸外国の“鬼ごっこ型教育”実践例
🇩🇰 デンマーク:自由遊びの中にある“知の冒険”
デンマークでは、幼児教育において「ルールのある追いかけ遊び」が知育の一環とされています。子ども自身がルールを工夫し、「勝つためにどう動くか」を遊びの中で探る姿勢が育成されます。
🇫🇮 フィンランド:リスクと遊びの融合
子どもが“危ない”と思うことを避けず、むしろそこに「どう回避するか」「どう安全に楽しむか」を自分で考えさせるのがフィンランド流。追いかけ遊びは「自ら判断する機会」として教育に組み込まれています。
🇨🇦 カナダ:屋外体験学習で「狩りと逃げ」の体験
自然の中で、動物の生態になぞらえた“プレデターごっこ”が導入されています。逃げる側と追う側、両方の視点を体験することで、「相手の立場を予測する力」が育まれます。
まとめ:「走ること」は、考えることだった。
鬼ごっこ〜〜それは、「子どもたちが最も夢中になれる遊び」の中にある、「最も大切な生きる力の学び」だったのです。
何も教えなくても、子どもは遊びの中で予測し、判断し、失敗し、また挑戦します。
これこそ、最も本質的な“学び”ではないでしょうか。
学校だけでは育たない、教科書には載っていない“未来を読む力”を、公園や校庭、家庭の庭先で、思いきり走って、育ててみませんか?