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授業における基本の“構(かま)え”~生徒理解のための6カ条~

    
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授業における基本の“構(かま)え”~生徒理解のための6カ条~

はじめに

授業を効果的に行うためには,何より生徒(受講生)を理解することが重要です。
その理由は,受講生の興味や関心,理解度,学習スタイルなどを把握することによって,適切な授業内容や方法を選択し,効果的な教育を提供することができるからです。
今回は,生徒(受講生)を理解するための具体的な方法をお話ししていきます。

1. アンケートの実施

授業開始前に,受講生に対してアンケートを実施している講師はあまりいないかもしれません。しかし,アンケートを実施することは大変有効です。受講生の興味・関心など,実態一部がわかるからです。受講生の興味や関心がわかることは,授業を進める上で大変有益な資料となります。
アンケートを実施する際に,内容には,以下のような項目を含めるとよいでしょう。

基本情報:年齢,性別,学年,専攻など

学習背景:これまで学んできた科目や内容,得意科目,苦手科目など

興味・関心:興味のある分野やテーマ,将来の目標や希望する職業など

学習スタイル:自己学習の習慣,好みの学習方法(視覚,聴覚,体験など)

期待や不安:授業に対する期待や不安,特に知りたいことや学びたいこと

このような情報により,受講生の基本的な背景やニーズを把握し,授業の計画を立てる上で参考にすることができます。

2. インタビューと個別面談

より深く受講生を理解するために,インタビューや個別面談を実施することも効果的です。
特に,何らかの事情でアンケートを実施することが困難な障がいを持った方などに対しては,インタビューなどで話を聴く方法が効果的です。
直接対話を通じて,受講生の考えや感情を詳しく知ることができます。以下のような質問を用いると良いでしょう。

・これまでの学習経験で特に印象に残っていること(楽しかったこと)は?

・この授業で特に学びたいことや期待(どんな授業をしてほしいか)していることは?

・授業で困っていることや不安なことはありますか?

・どのような方法で学ぶと理解が深まりますか?

インタビューや個別面談を通じて,受講生との信頼関係を築くことができ,より個別対応が可能になります。

3. 観察とフィードバック

授業の初期段階で受講生の様子を観察し,理解を深めることも重要です。以下のポイントに注意しながら観察を行います。

参加度:授業への積極的な参加態度や発言の頻度について

理解度:授業内容に対する理解の深さや質問の内容について

協力性:グループワークやディスカッションでの協力姿勢について

学習スタイル:視覚,聴覚,体験など,どのような方法で学びやすいか

観察結果をもとにして,適宜フィードバックを行い,受講生の理解を促進します。また,定期的に小テストやクイズを実施して,学習の進捗や理解度を評価することも有効です。

4. プレテストの実施

授業開始前にプレテストを実施することで,受講生の既存の知識やスキルレベルを把握することができます。特にある一定の技能を習得する必要のある授業の場合は,プレテストの結果を分析し,授業に活用することもできます。プレテストでは,以下のような点を確認します。

基礎知識の有無:授業で扱う内容に関する基本的な知識があるか

理解の深さ:既存の知識やスキルの理解度や応用力はあるか

個別の弱点:特に苦手な分野や理解が不足しているポイントはあるか

プレテストの結果を参考にして,授業内容や進度を調整することで,受講生一人ひとりに合った指導が可能になります。

5. デジタルツールの活用

オンライン授業やハイブリッド授業(オンラインと対面授業の併用)の増加に伴い,デジタルツールを活用して受講生を理解する方法もあります。例えば,以下のようなツールを利用します。

学習管理システム(LMS):受講生の学習履歴や進捗を記録・分析し,個別の学習状況を把握する

オンラインアンケートツール:簡単にアンケートを作成・配信し,結果を収集・分析する

ディスカッションフォーラム:受講生同士の意見交換や質問のやり取りを観察し,関心や理解度を把握する

分析ツール:デジタル教材の利用状況や学習データを分析し,受講生の学習傾向を把握する

デジタルツールを活用することで,効率的に多くの情報を収集・分析し,受講生の理解に役立てることができます。ツールを活用するためには,当然授業が活用できる身につけていないと活用できません。従って授業者自身の研修も不可欠になるでしょう。

6. 継続的なフィードバックと調整

受講生の理解は一度きりの取り組みで終わるものではなく,継続的に行うことが大切です。授業が進む中で,受講生からのフィードバックを定期的に収集し,授業内容や進め方を適宜調整します。例えば,授業後のアンケートやミニフィードバックセッションを通じて,以下の点を確認します。

授業内容の理解度:どの部分が理解しやすかったか,どの部分が難しかったか

授業方法の効果:どのような授業形式が効果的だったか,改善点は何か

学習の進捗:目標に対する進捗状況や課題について

受講生のフィードバックをもとに,授業計画を柔軟に見直し,より効果的な指導を行うことが重要になってきます。

まとめ

授業を始める前に受講生を理解することは,効果的な教育を提供するために欠かせないステップになります。アンケートやインタビュー,観察,プレテスト,デジタルツールの活用など,さまざまな方法を組み合わせることで,受講生のニーズや特性を把握し,適切な授業内容や方法を選択できるようになります。
さらに,継続的なフィードバックと調整を行うことで,常に最適な教育環境を提供し,受講生の学びを支援することができます。このような取り組みを通じて,受講生が主体的に学び,成長できる授業を実現することができるでしょう。

授業は,1日して成らず。教える者として,目の前の受講生と向き合い続ける姿勢こそが重要になります。

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