ユーモア×教育編〜給食のおかわり争奪戦から学ぶ「交渉力」のすすめ〜【交渉力ワークシート付き】
キーワード:
交渉力、教育、給食、おかわり、子ども、学校教育、対話、ユーモア、海外の教育事例、リーダーシップ、譲歩
はじめに:給食のおかわり争奪戦は教育の宝庫?
小学生の頃、給食のおかわりの時間になると、何人もの手が一斉に挙がり、「はいっ!僕!」「お願い!」とアピールが飛び交っていた記憶はありませんか?
実はこの一見ただの「食いしん坊バトル」に見えるやりとりにこそ、子どもたちの「交渉力(ネゴシエーション)」の萌芽が潜んでいるのです。
このブログでは、給食のおかわり争奪戦を通して育まれる交渉力と社会的スキルの価値について、国内外の実例も交えて、楽しく深掘りしていきます。
第1章:給食の“おかわり”に秘められた交渉のドラマ
■ 交渉力とは?
交渉力とは、自己の欲求や希望を相手に伝え、合意形成を目指す力です。ビジネスだけでなく、友人との遊びの時間決めや家庭内の役割分担でも、実は日々行われています。
■ なぜ給食で学べるのか?
おかわりは「数が限られている」ため、自然と交渉が発生します。以下のような場面が日常にあります。
• 「昨日は僕がもらったから、今日は○○ちゃんに譲るよ」
• 「おかず半分でいいから、ちょっと分けてくれない?」
• 「ジャンケンじゃなくて、食べるの遅い人は後回しにしよう!」
このようなやり取りを通じて、利害調整・譲歩・説得・順番の交渉といったプロセスを、自然と子どもたちは体験しているのです。

第2章:実践の中で育つ力と満足度の高い成果
■ 子どもが主導する小さな交渉
交渉といっても、子ども同士のやり取りはとてもシンプルです。しかし、そこには**「自分の思いをどう伝えるか」「相手の気持ちをどう考えるか」**という深い学びがあります。
ある学校で、給食のおかわり制度を「ジャンケン」から「希望者の理由プレゼン方式」に変更したところ、以下のような成果が報告されました。
• 人前で話す力がついた(プレゼン能力)
• 自分の感情や体調を言語化する力が育った
• 他者の意見を尊重する姿勢が芽生えた
• 勝者の特権と敗者の納得のバランスを学べた
この取り組みを半年間継続した結果、学級全体の人間関係の満足度が向上し、児童同士のトラブルも減少したという報告があります。
第3章:世界にもある「交渉力を育てる日常」
交渉教育は、世界のさまざまな国でも注目されています。とくに北欧諸国やアメリカの教育現場では、日常の中に交渉体験を取り入れる方法が進んでいます。
■ フィンランドの「対話的な昼食時間」
フィンランドの小学校では、ランチタイムに「対話と交渉の時間」を設けています。
余ったパンやスープなどは希望者がじゃんけんや挙手で決めるのではなく、「なぜ欲しいか」「昨日はもらえなかった理由」などを話すプレゼンタイムが導入されているケースもあります。
この「話し合いの時間」には、教師があえて介入せず、子どもたちだけで合意を導く練習を行うのが特徴です。
■ アメリカの“Lunchroom Leaders”制度
アメリカでは、一部の小学校で「Lunchroom Leaders(ランチリーダー)」という制度があります。これは日替わりで選ばれた児童が、ランチ時間の配膳やおかわりの分配をリードする役目を担います。
彼らは配分の交渉役として、以下のような判断を求められます。
• 誰にどれだけ分けるか?
• 不公平と感じる児童への説明はどうするか?
• 自分が欲しい気持ちとリーダーの立場をどう両立させるか?
この制度によって、リーダーシップと公平性の視点、そして対話の大切さを学ぶことができます。
第4章:教室でもできる「おかわり交渉」ワークショップ
給食の時間以外でも、交渉力を育てることは可能です。以下は家庭や教室で行える「おかわり交渉力トレーニング」の例です。
シナリオ 学習ポイント 工夫例
・おやつを誰が先に食べる? 譲歩・順番 ダイスやくじを導入しても交渉は起こる
・掃除分担を決める 責任と交渉 「疲れてるから軽めの場所がいい」と自己主張してみる
・ゲームの順番を決める 対等性の確認 「前回負けた人から」などルール合意の場にする
これらのやりとりは小さな社会的契約の場となり、ルールづくり・話し合い・妥協といった社会性の基礎を養います。

第5章:ユーモアで包む「真面目な学び」
給食のおかわり争奪戦を笑い話で終わらせず、教育的な意味を持たせて再構築すること。それは、日常にある「小さな社会」を活用することに他なりません。
「昨日、ハンバーグ2個目もらったでしょ!」「じゃあ今日は○○ちゃんね」
――そんな微笑ましいやりとりの中に、交渉力・他者理解・公正感覚・自己主張と譲歩のバランスという、大人になっても必要な力が詰まっているのです。
おわりに:おかわりから始まる“未来の対話力”
交渉力は、学校教育の中で体系的に教えられることが少ないスキルです。しかし、給食のおかわりという身近な場面をきっかけに、自然な形で育てることが可能であると、多くの実践例が示しています。
ユーモアを交えた教育アプローチは、学びをポジティブな経験として記憶に残すという大きな力を持っています。
あなたのクラスでも、「おかわり」をきっかけに、未来の交渉人が育っているかもしれませんね。
【交渉力ワークシート】
ワークシートの概要:
このワークシートでは、給食のおかわり争奪戦をテーマに、子どもたちが実際の体験を振り返りながら「交渉力」を身につける内容になっています。家庭・学校での活用におすすめです。