いざというときに役立つ“老後の自立”を支えるネット社会
私たちの暮らしにはインターネットが溶け込んでおり,インターネットによる情報が無ければもはや生活が不自由になるといっても過言ではないでしょう。
総務省が公表している「平成29年通信利用動向調査」においては,13歳から59歳までのインターネットの利用状況は9割を超えていることを見ても,暮らしにインターネットが重要なものであることが分かります。
そのような時代の変化に伴って,高齢者もインターネットを活用するシーンが増えています。さまざまな情報を収集するだけではなく,医療や買い物,スキルアップなど,高齢者の暮らしを豊かにすることができるからでしょう。
特に地方での暮らしに大きな影響を与えるものであると言えるのではないでしょうか。ただ,そのような中で,若者と比較すると利用率は低くなっており,情報格差が開いている状況も見受けることができます。
地方での自立を支えるネット社会
2020年の新型コロナウイルス感染症はわが国のみならず,世界中で大きな被害を受けることになり,いまだ出口が見えていない状況です。
ただ,この状況によって,高齢者のネット利用が加速したとも言われており,今後もその波は継続するのではないかと考えられています。
高齢者のネットショッピングの利用が急増
総務省の統計局が公表しているデータによりますと,2020年3月あたりから高齢者のネットショッピングの利用率が急増しており,2020年5月には3割を超えていることが分かります。
これは,コロナ禍による自粛期間が大きな影響を与えたものだと理解できるでしょう。
それまでも高齢者の利用は増えつつあったものの,2020年2月の時点でも25%にも満たない状況でした。
2021年現在においてもまだまだ感染症の影響は冷めやらぬ状況ですから,今後も高齢者による利用は拡大していくことが予想されます。
高齢者の地方での自立を支えるICTサービス
地方の高齢者を支えるインターネットサービスとして「ICTサービス」が期待されています。「ICTサービス」とは,インターネットを利用した産業やサービスのことを指しており,単にスマートフォンやパソコンを活用した情報サービスだけではなく,医療や介護,教育などの面での活用も始まっています。
特に高齢者に対するサービスの場合であれば,医療や介護での利用シーンが増えてきました。
例えば,医療であれば自宅にいたまま,かかりつけ医による診察を受けることができるオンライン診療が普及しつつあります。
特に,地方と都市部での医療格差や医師不足が叫ばれる中で,ICTを活用した医療サービスは,それらの問題を解消するものになると考えられています。
また,介護の面においても,多くの自治体でICTを活用した「高齢者見守りシステム」の導入が進んでいます。
インターネットを通じて,高齢者の状況を離れた場所から確認することができ,情報は介護サービスだけではなく,医療機関などと共有することも可能となっています。
さらに,高齢者が学びの機会を持つために,ICTを活用した学習やスキルアップにも取り組めるようになりました。
ICT技術はあらゆる分野に応用することが可能なために,今後は自宅での利用だけではなく,移動手段や配送なども可能になると言われています。
高齢者の情報格差の問題と解決策
高齢になるほど,心身の機能が衰え,病気や障害を引き起こすリスクが高くなってしまいます。
また,地方に住む高齢者にとっては近隣に病院がなく思うように通院ができないことや,都市部との医療格差も生じていることによって希望する治療が受けられない可能性もあります。
ただ,そのような状況を打開するものがインターネットであると言えるでしょう。
そう考えると,高齢者に対して,今まで以上にインターネットを普及させなければなりません。
高齢者のインターネットの使用状況
高齢者のインターネットの使用状況を見てみると,世代間で大きな格差があることが分かっています。
13歳から59歳までの利用率が9割を超えているのに対して,60歳を超えるとどんどん利用率が下ります。
60歳代では7割強,70歳代では5割弱,80歳代では2割程度という調査結果となっています。
要介護高齢者になるとさらに利用率は低くなります。
高齢者に必要なインターネット活用支援
冒頭からもお伝えしている通り,高齢者の暮らしを安定させ,豊かにするにはインターネットの活用が不可欠であると言えます。
地方においてもICTを活用した医療や介護サービスを利用することができ、社会参加や文化活動などを充実させることができます。
そのため今後は,情報格差を生じさせないような新たな支援が必要になります。
現在,自治体やNPO法人などにおいて,ICT利活用の支援が積極的に行われており,地域の自治会や老人会とも連携し推進しているような地域もあります。
このような支援を受けるためには,より良いサービスをうまく利用できることが肝心です。その鍵(カギ)となるのがICTの利活用に関する技能なのです。
まとめ
ICTサービスは近年急速に発達を見せており,地方と都市部との格差をなくすためにICTの活用は不可欠です。
地方での高齢者の生活においても,健康を維持し,充実した生活を過ごすために,なくてはならないツールであることは間違いありません。
そのためには,それらのデバイスをうまく活用できるように支援を行い,情報格差を生じさせない取り組みが,今まで以上に必要になるのではないでしょうか。